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「はだしのゲン」紙芝居も迫力 原爆資料館 複製原画 初の一般公開

 被爆後の広島を力強く生きる少年を描いた故中沢啓治さん(1939~2012年)の漫画「はだしのゲン」の紙芝居の複製原画の展示会が、広島市中区の原爆資料館で開かれている。一般公開は初めてで、約40点を7月中旬まで並べている。無料。

 縦37センチ、横45センチの原画を複製した32点をはじめ、紙芝居本体などを展示している。原画には、被爆時にゲンが爆風で吹き飛ばされる様子や、家の下敷きとなった父と姉、弟を残して迫り来る炎の中を母と逃げざるを得ない場面などが描かれている。

 妊娠中の母が栄養不足となり、戦争反対を貫いた父が拷問を受ける場面なども描写。原爆がもたらした苦しみや無念だけでなく、戦時の世相も表現してある。

 中沢さんは11年、漫画の原画など約9500点を市に贈っており、うち80点が紙芝居の原画だった。寄贈から10年の節目に中沢さんの作品にスポットを当てようと、資料館が企画した。

 資料館学芸課の菊楽忍さん(62)は「子どもたちにも理解してもらえるよう、細かい表現に気を配りながら描かれている。原爆がもたらした惨状や、中沢先生が作品に込めた核兵器廃絶や平和への願いを知ってほしい」と話している。(小林可奈)

(2021年4月6日朝刊掲載)

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