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ロシア艦救援伝える慰霊碑移設

 島根県江津市和木町沿岸では日露戦争中の1905年、沈没したロシア艦「イルティッシュ号」の乗組員を住民が助けた歴史がある。海沿いには一連の戦いによる死者を悼む慰霊碑があったが、海岸浸食の進行を受け地元住民が、近くの和木地域コミュニティ交流センターに移設した。

 慰霊碑は高さ約3メートル。59年に建立され、住民が管理してきた。長年の波浪で砂浜が縮小してきたため移設を決定。多くの人に見てもらおうと、元の場所から約500メートル内陸にある町の中心施設の一角に据えた。3月に移設式典があり、住民たち約20人が参加した。和木まちづくり協議会の野田久雄会長(69)は「慰霊碑を守り続け、和木の先人の素晴らしい行いを語り継ぎたい」と話した。

 イルティッシュ号は05年5月、同町沿岸に漂着し、住民が乗組員200人以上を助けた。町内では例年、歴史を伝え平和を願う「ロシア祭り」が開かれている。(下高充生)

(2021年4月6日朝刊掲載)

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