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大田洋子文学碑 20メートル南西へ移設 中央公園広場 広島市説明

 広島市は8日、中区の中央公園広場にあった被爆作家、大田洋子(1903~63年)の文学碑を、これまでの場所から約20メートル南西の広場西側に再設置する方針を明らかにした。サッカースタジアムの建設に伴い現在は市有地で保管しており、市民団体の要望を踏まえて移設先を選んだという。

 市によると移設候補地は、スタジアムの1階と2階を結ぶ外周の歩道の下となる。再設置の時期は、2024年のスタジアム完成後の早期を予定しているという。市役所でこの日、市民団体「広島文学資料保全の会」(中区)に説明した。

 文学碑は、原爆詩人の栗原貞子(1913~2005年)たちの運動で78年に建立された。大小15個の自然石を並べ、1個には大田が被爆体験を基に執筆した小説「屍(しかばね)の街」の一節を刻む。文化財の発掘調査のため昨年11月に撤去された。

 保全の会は昨年8月、移設先として、大田作品の舞台となった「原爆スラム」に近い広場西側を提案していた。土屋時子代表(72)は「要望に沿った場所に再設置されると聞き、安心した。活用するために、ガイドで立ち止まる場所を確保してほしい」と願った。

 市は文学碑のほか、「針のめぐみ」像▽緑の羽根の碑▽子どもの手形プレート―の3基についても、広場内での移設や再利用を予定している。具体策は今後、関係者と話し合うとしている。(新山創)

(2021年4月9日朝刊掲載)

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