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騒音悪化 北側目立つ 20年度 岩国基地周辺6地点

 岩国市の米軍岩国基地周辺の2市2町と山口県でつくる県基地関係県市町連絡協議会は、2020年度の航空機騒音の状況をまとめた。廿日市市宮島や大竹市西栄など6地点の騒音は空母艦載機の移転完了後の18年度から3年連続で増加。飛行ルートの基地北側で悪化が目立った。

 国と県、岩国市が設置した34測定地点のうち3年連続で計測した29地点で、うるささ指数(W値)を比較した。3年続けて増えた6地点のうち、廿日市市宮島は54・9と18年度に比べ3・9ポイント増え、最大の増加となった。増加幅は大竹市西栄が3・1ポイントで続き、山口県和木町瀬田、岩国市三笠町、大竹市阿多田島、岩国市川口町の順で大きかった。

 艦載機移転開始前の16年度までの5年平均と比べると、継続調査した22地点の9割となる19地点でW値が増えた。増加幅は岩国市三笠町の6・1ポイントが最も大きく、同市新港町5・6ポイント、同市川口町と同市旭町がともに4・7ポイントで続いた。

 月別のW値は過去2年に比べて4、5月が低い一方、11月以降は高い傾向となり、今年3月が最高だった。例年5月ごろ硫黄島(東京都)である陸上空母離着陸訓練(FCLP)などの方法が、20年度は新型コロナウイルスの影響で変わり、岩国基地に艦載機が戻る回数が減った。艦載機は11月に帰還し、空軍の外来機なども訓練を繰り返した。

 艦載機移転を前に、国が示した騒音予測との比較では9割の地点で予測を下回っており、同協議会は「当初の予測の範囲内であることを確認した」としている。(永山啓一)

  うるささ指数(W値)
 航空機騒音の評価指標の一つ。騒音が続く時間や回数、時間帯を考慮して算出する。昼間より生活への影響が大きい夜間を重視して評価する。数値が高いほど騒音がひどい。国は環境基準で住宅専用地域は70以下と定めている。70は地下鉄車内に相当する80デシベルの音が日中に1日50回あったときのうるささに相当する。

(2021年4月29日朝刊掲載)

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