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「にぎわい」「鎮魂」反映へ 平和大通り カフェなど誘致構想 広島市 市民の声を集約

 広島市中心部の平和大通り沿いにカフェなどを誘致する市のにぎわいづくり構想で、市は周辺住民への聞き取りと公募で集めた意見の内容をまとめた。合わせて延べ423件を「にぎわい」「鎮魂」「憩い」「おもてなし」の四つに分類。意見を参考に、多様な考え方を生かして調和させた基本計画づくりを目指す。(新山創)

 4分類では「にぎわい」が30・3%の128件で最も多い。「広場を整備し、芸術展のようなイベントを定期的に開いてほしい」「自転車競技のロードレースなどスポーツや趣味ができる環境を整えてほしい」などが寄せられた。

 「鎮魂」が29・8%の126件でほぼ並んだ。平和大通りの周辺に多くの慰霊碑があることを踏まえて「平和のコンセプトを大切にしてほしい」「鎮魂の場であり、にぎわいをつくればよいというものではない」などの指摘があった。

 「憩い」は24・3%の103件。カフェの整備をはじめ、植栽の維持や充実などが挙がった。「おもてなしに」は13・7%の58件で、照明やトイレの整備を求める声などがあった。残りは「その他」とした。

 意見のうち聞き取りは、周辺の町内会や企業、慰霊碑の管理者たちを対象に昨年4~9月に進め、90人・団体から222件を集めた。公募は7~8月で、100人・団体から201件が届いた。聞き取りでは「にぎわい」、公募では「鎮魂」が最多だった。

 市はにぎわいづくりで、緑地帯を公園に指定して民間の資金やノウハウを生かす「パークPFI」制度の導入を検討しており、経済界や被爆者団体などから賛否両論が出ている。基本計画は当初、2020年度中にまとめる計画だったが、意見を集約して検討を深める必要があるとして、21年度以降に延期した。

 市観光政策部は「多様な意見が寄せられた。全ての意見を大切にしながら、できる限りよい基本計画を作りたい」としている。

パークPFIと平和大通りのにぎわい構想
 パークPFIは、公募で選ばれた民間事業者が都市公園にカフェや売店などの収益施設を設け、売り上げの一部を植栽など公園整備に還元する制度。2017年の改正都市公園法で制度化された。広島市の平和大通りは現在、緑地帯を含めて市道の扱いのため、常設の飲食施設は営業できない。市は緑大橋から鶴見橋までの約2・5キロにわたる中区内の緑地帯約5・7ヘクタールの大半を公園にも指定し、収益施設を置く構想を描く。店舗数や利用面積は決まっていない。緑地帯には1041本ある樹木のうち、1950年代の供木運動で集まったとみられる木が275本残っている。

(2021年5月25日朝刊掲載)

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