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岩国愛宕山訴訟 取り消し請求を却下 広島地裁「手続きに違法性なし」

 山口県岩国市愛宕山地区の住宅市街地開発事業の認可を国が取り消したのは違法として、周辺住民が処分取り消しなどを求めた訴訟の判決が27日、広島地裁であり、梅本圭一郎裁判長は「原告適格が認められない」として取り消し請求を却下、損害賠償請求を棄却した。

 梅本裁判長は「公益上の必要性が認められ、手続きに違法性はない」と認定。都市計画法などに計画廃止を認める規定がないとする原告側の主張についても「認可を受けた以上中止できないと考えるのは硬直に過ぎる」と退けた。

 訴状などによると、住宅開発は山口県住宅供給公社が1998年に着工したが、需要が見込めず、2008年に中国地方整備局に認可の取り消しを申請。同整備局が09年2月に取り消した。整地で生じた土砂は、米海兵隊岩国基地の沖合移設事業の埋め立てに使われた。

 跡地は12年3月に国が購入。岩国基地への空母艦載機移転計画に伴う米軍住宅を建設する予定となっている。

 原告側の山田延広弁護団長は「裁判所は行政の追認機関にすぎないのか。形式的で行政訴訟の窓口を狭める判決だ」。中国地方整備局は「主張が認められたものと考えている。今後も適切な事業認可手続きに努めたい」とコメントを出した。(野田華奈子)

(2013年11月28日朝刊掲載)

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