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島根原発2号機 安全審査申請へ 島根県・市「再稼働とは別」 住民からは疑問の声

 中国電力が24日、島根原子力発電所2号機(松江市鹿島町)の安全審査の申請を前に島根県と松江市の了解を得た。今後、再稼働に向けた手続きが加速するが、県と松江市は「(申請容認は)あくまで再稼働の議論とは別」との立場を強調した。この説明に、「再稼働への一歩に他ならない」と、原発稼働への賛否を問わず住民からは疑問の声が上がった。(樋口浩二、土井誠一)

 「安全審査と再稼働は別物」。知事室で、申請容認を中電の苅田知英社長に伝えた後、溝口善兵衛知事は念押しした。「(再稼働への流れは)政府がまだ示していない。中電も(別物と)説明しないと誤解を招く」とくぎを刺した。

 「はい」とだけ応じた苅田社長。だが、その後の取材には「(2号機は)理解を得て動かさないと、厳しい収支を改善できない」と本音をのぞかせた。

 注文の真意について溝口知事は「周辺(自治体)からの要請」と説明。原発30キロ圏の出雲、雲南市などから中電に伝えるよう要請された点を理由に挙げた。松江市の松浦正敬市長もこの日「再稼働とは切り分ける」としたが、この両首長の態度には「稼働に前のめりの印象を与えたくないのだろう。本音は再稼働への一歩と分かっている」(県議)とみる向きもあった。

 「再稼働とは別との説明は筋違い。中電が再稼働を望み、国も安全性を確認すれば動かすと言っている」。島根大名誉教授の保母武彦氏(71)は指摘する。島根原発増設反対運動代表の芦原康江松江市議(60)は、稼働の是非の議論を早急に始めるよう松浦市長に求めたうえで、「原発を選択するかしないのか、全市民に選んでもらうべきだ」とした。

 「安全第一が大前提だが、稼働に向けた大きな一歩なのは間違いない」。早期の稼働を支持する、まつえ北商工会(松江市)の青山正夫筆頭理事(66)もこう受け止めた。

 溝口知事は稼働がより現実味を帯びる審査後の判断について「専門家や住民、議会、周辺市の声を聞いて総合的に判断する」と繰り返した。

(2013年12月25日朝刊掲載)

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