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「不戦へ必要」「火に油」 首相靖国参拝 中国地方 追悼か外交か 評価二分

 安倍晋三首相が就任後初めて靖国神社に参拝した26日、中国地方の街頭では、戦争犠牲者の追悼について一定の支持をする声もあったが、中国、韓国との外交に及ぼす悪影響への懸念も目立った。

 福山市野上町の食品卸業藤井陽子さん(74)は戦争で父親を亡くした。「父へのお参りと受け止め感慨深い。再び戦争を起こさない決意を固めるためにも参拝は必要だ」と話す。

 広島市安佐南区の無職三戸博さん(65)は「首相の参拝は内政問題であり、他国に批判されても堂々としていればいい」と認める。

 「参拝は当たり前のことだが、タイミングが良くない。火に油を注ぐ可能性がある」。安佐南区の広島経済大4年坪井冬馬さん(22)は中国、韓国との溝がさらに広がることを警戒する。江田島市の無職北辰江里さん(38)も参拝を認めながら「反日感情が高まりそう」と顔を曇らせた。

 参拝にも異を唱える中区の無職三田義樹さん(65)は「中国や韓国をあえて刺激する必要はない。首相個人が心中で思っていればいいことだ」と強調する。

 安佐南区の会社員高田英理子さん(27)は、第2次世界大戦のA級戦犯が合祀(ごうし)されている問題に触れ、「戦争主導者と兵士を一緒に祭るのはおかしい。分祀して、近隣国から反感を買う参拝は慎むべきだ」と強調する。

 特定秘密保護法の成立に絡め、島根県川本町の無職大海英美さん(73)は「日本の右傾化を感じる。参拝を経済や民間交流に波及させない外交的な努力が必要」と不安を示した。一方、岩国市車町の主婦山縣孝子さん(63)は「保守的にはなっているが、それと靖国参拝は別の話だ」と受け止めていた。

(2013年12月27日朝刊掲載)

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