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ヒロシマ発信「ピース・コンサート」 県、14年度大幅縮小

収益不振 在り方検討

 被爆地から平和を発信しようと2013年夏、国内外の有名アーティストを招いて広島市中区で初めて開いたワールド・ピース・コンサートについて、広島県は27日、14年度のコンサートの規模を大幅に縮小する方針を明らかにした。経費がかさんで収益が想定の2割弱にとどまったことを踏まえ、課題を検証する組織を設置。14年度は最小限の規模で続ける一方、今後の在り方を検討する。(新本恭子)

 県によると、七つのコンサートに約1万5千人が来場した。ただ、大物歌手の出演中止や円安による出演料増額など予想外の事態が相次ぐ中、同時開催した屋外イベントと国際会議を合わせた収益は3020万円と、計画した1億7400万円の17・4%にとどまった。

 県によると、13年度は4億円に上ったコンサートの開催費用を14年度は350万円に圧縮。出演者は広島ゆかりのアーティストを中心とし、小規模な形で継続する方針だ。

 同時に県や地元経済界、コンサート業者などでつくる懇話会を新設。興行面のリスクも念頭に、15年度以降の在り方を検討する。

 27日は、コンサートを主催した実行委員会の会合が県庁であり、事務局の県が14年度の計画を説明。会長を務める湯崎英彦知事は「次も同じようにやることありきでも、やめることありきでもなく、素直に検討したい」と述べた。出席者から異論はなく、「もっと地元で盛り上がりを生む仕組みが必要」「イベントを詰め込みすぎた印象がある。焦点を絞るべきだ」などの声が出た。

ワールド・ピース・コンサート
 広島県や経済団体でつくる「ピース・アーチ・ひろしまプロジェクト実行委員会」が主催。2013年7月27日~8月5日にポップスやクラシックなどの七つのコンサートを開催した。米音楽界の重鎮クインシー・ジョーンズや世界的ピアニストのブーニン、坂本龍一たち国内外の有名な音楽家が出演。各会場の入場率は81・1~97・0%だった。企業の協賛金を集めるなどして運営した。

(2014年1月28日朝刊掲載)

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