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伊藤長官ゆかりの桜、術科校に植樹 江田島 大和で出撃死亡

 戦艦大和に乗艦し、戦死した旧海軍第二艦隊の伊藤整一司令長官ゆかりの桜が29日、長官の母校、旧海軍兵学校があった海上自衛隊第1術科学校(江田島市)に贈られた。

 苗木7本で、いずれも高さ約2メートル。長官が生前、東京の自宅に植えた桜の枝を接いでいる。長官の出身地、福岡県みやま市の住民たちが遺族から枝を譲り受け、1年余り育ててきた。術科学校にはこの日、5人が訪れ、徳丸伸一学校長たちとともに構内に植樹した。

 長官は1945年4月7日、沖縄への海上特攻の途上で米軍機の攻撃を受け、大和の乗組員たち約3千人とともに海に沈んだ。長男叡(あきら)さんも兵学校卒業後、特攻隊員として出撃、戦死している。

 東京都杉並区の自宅は空襲で焼けたが、桜は残った。戦後、根元から生えてきた芽が育ち、2本並んで花を咲かせ「父子(おやこ)桜」と呼ばれるようになった。

 発起人の一人、岡部拳(あぐる)さん(81)=同市=は「この地に桜が根付けば2人も喜ぶはず」と感激し、徳丸学校長も「長官ゆかりの桜。大切に育てたい」としている。(加茂孝之)

(2014年1月30日朝刊掲載)

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