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14年度も島根県松江市に寄付 中電 原発立地で10年連続

 中国電力が島根原子力発電所の立地する島根県松江市に対し、2014年度も漁業振興名目の寄付を続けることが19日、分かった。3号機の新設に伴う交付金でできた漁業施設の運営費3千万円で、寄付は10年連続。福島第1原発事故後も毎年続いており、中電のコスト意識と市の体質が問われる。

 施設はアワビの種苗を生産・販売する同市鹿島町の鹿島・島根栽培漁業振興センター。中電が原発敷地内で担っていたアワビ生産を05年度以降、市が3号機の交付金や寄付を基に引き継いでいる。14年度計画では、運営費約4500万円のうち寄付が7割弱を賄う計算となる。

 センターは市内の漁業振興を図るため、地元漁協に種苗を市場価格の約5分の1で卸している。このため13年度の売り上げ見込みは経費(約6千万円)の約15%(約900万円)にとどまる。市政策企画課は「寄付を前提にした施設で、寄付なしの運営は困難」とする。一般財源での振り替えや施設廃止は検討していないという。

 中電は3号機建設前の02年1月、旧鹿島、島根町(ともに現松江市)と島根県、両町の旧3漁協(現JFしまね)と結んだ覚書に基づき寄付を続けている。「立地に協力していただいている地域の振興につなげるためで寄付は重要」としており、覚書を見直す考えはないという。(樋口浩二)

島根原発の立地に伴う寄付
 3号機の増設計画に伴い、中電はこれまでに松江市鹿島町と隣接の島根町に少なくとも計約52億円を寄付した。寄付は、電気料金を決める算定方式でコストの一部となるが、中電は積極的に公表しない方針。

(2014年2月20日朝刊掲載)

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