×

ニュース

太平洋戦争後期 広島県福山市に基地 海軍航空隊の備品 発見

 太平洋戦争後期、福山市大門町にあった「福山海軍航空隊」で使われた食料保管箱などの備品が、岡山県井原市内の民家で見つかった。同航空隊の写真や書類を収集、展示している福山市人権平和資料館によると、同航空隊の備品はほぼ全て紛失しており、貴重な資料という。(小川満久)

 備品は、保存食の乾パンや缶詰が入っていた高さ50センチ、幅75センチ、奥行き40センチの木製保管箱2個や整備用の工具、アルミ製の配膳食器、鉄製カンテラなど計9点。井原市井原町の無職出原真夫(いではら・まさお)さん(78)方の倉庫で見つかった。

 出原さんによると、同航空隊に所属していた父実さん(1980年に73歳で死去)が終戦後、井原市の自宅に備品を持ち帰った。実さんの軍隊での階級や所属期間は不明という。

 ことし2月上旬、同資料館の北村剛志副館長と、同航空隊の福山地方航空機乗員養成所の元生徒2人が出原さん宅を訪れ、備品を調査。同航空隊の備品はほぼ全てなくなっており、軍隊の生活を知らせる貴重な資料と分かった。

 出原さんは福山市へ保管箱1個を除く8点を展示資料として寄贈。現在、同資料館が保管し、近く展示する考え。出原さんは「多くの市民に戦時中の軍隊の生活を想像してもらい、あらためて平和の尊さを感じてもらいたい」と話している。

福山海軍航空隊
 詫間(たくま)海軍航空隊福山分遣隊を廃止し、施設を拡充して新たに45年3月に開設された。水上飛行練習機、偵察機、戦闘機などが置かれ、練習、出撃基地となった。特攻隊員9人が沖縄に向けて出撃した。現在、JFEスチール西日本製鉄所福山地区の敷地の一部となっている。

(2014年2月25日朝刊掲載)

年別アーカイブ