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「特攻」の地で平和学習 広島県庄原市の遺族会 鹿児島訪問振り返る

 庄原市の戦没者遺族会の井沢聖昭会長(75)と戦没者の孫とめいに当たる女性3人が第2次大戦中に日本軍の特攻隊基地があった鹿児島県南九州市知覧町を今月半ば訪れた。一緒に平和の大切さをかみしめた。

 同会の会員は約400人で、高齢化が進む。知覧への旅は、戦争を知らない世代に不幸な歴史を伝え、遺族の活動の後継者を育てる狙いで、昨年に続いて実施した。

 一行は、20歳前後で亡くなった1036人の遺影や遺書などを展示している知覧特攻平和会館を見学した。庄原に帰った後、旅行を振り返る会を開き、思いを語り合った。

 峰田町の病院事務員佐倉和子さん(57)と三日市町の学校職員西村和美さん(48)は「遺影は笑顔が多く、国と家族を守るために、死ぬ覚悟を決めたのだと思うと涙が出た」と口をそろえる。

 東本町の会社員荒木舞さん(31)は幼い子ども宛てに片仮名書きした遺書が印象に残ったという。「極限の状況で気配りする愛情深い父親が、なぜ子どもと別れなければいけなかったのか」と声を落とし「平和の尊さが身に染みた」と話す。同会は来年も数人を知覧に派遣することにしている。(森下敬)

(2014年2月25日朝刊掲載)

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