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被爆50年に三次市三良坂の美術館設置 平和の大壁画 住民修復

 広島県三次市三良坂町の住民有志が、同町の三良坂平和美術館の外壁に設置されたレリーフ「翔(と)べ永遠に」を修復した。完成から20年近くたち、スギ板のキャンバスが朽ちていた。住民は「平和の大切さをあらためて発信したい」と話している。(重田広志)

 縦4メートル、横6メートル。ボルトで外壁に固定されている。アルミ板で子どもたち6人が大空を飛ぶハトの群れを眺める様子などを表現し、平和の尊さを訴えている。被爆50年の1995年、広島市西区の洋画家吉野誠さん(80)の絵を基に、三良坂町の被爆者やその家族たちでつくる三良坂平和を願う会が作った。

 風雨にさらされて、キャンバスが黒ずんで見栄えが悪くなったため、昨年12月、有志20人が実行委員会を設けて修復を決めた。

 県の補助金約40万円で県産スギ板など材料を調達。実行委メンバーの大工2人が2月中旬に足場を組んで作品を取り外し、96枚のスギ板を敷き詰めてキャンバスを作り直した。

 3月中旬、ハトや子どもたちの形をした約150枚のアルミ板の汚れをスポンジで落とし、ビスで取り付けて完成させた。

 実行委員長を務めた平和を願う会会長の田口正行さん(56)は「新たなレリーフを通して、美術館来館者と紛争をなくす思いを共有したい」と話している。

(2014年3月25日朝刊掲載)

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