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回天風化させない 周南の協会 大津島PR事業

 旧日本軍の人間魚雷「回天」の基地があった周南市大津島を広く知ってもらう「平和の島プロジェクト」をスタートさせると29日、地元の周南観光コンベンション協会が発表した。回天の実戦投入からことしで70年。風化を防ぎ、平和を考えるきっかけにしてもらいたいとしている。

 グッズなども作って販売収益を活動費に充て、搭乗員の遺品の世界記憶遺産への登録も目指すという。出撃前の搭乗員が食べたとされるすき焼き入りの弁当などの販売も計画している。

 回天特別攻撃隊を描く佐藤秀峰さんの漫画「特攻の島」と連携し、登場キャラクターを使って島への行き方を伝える案内看板をJR徳山駅に設置。カレー、菓子、文房具などを4月以降発売し、一部の包装に佐藤さんの絵を使う。

 幅広い年代に回天の実情を伝える研修会も開く。将来的には、米国に残る実機の展示や、大津島にある回天記念館の分館を、交通の便が良い場所に設ける案なども検討していく。

 同協会の伊藤博之会長は「多くの人に周南を訪れてもらうことで、回天の記憶が風化するのを防ぎたい」と強調。佐藤さんは「戦争を漫画という娯楽にしていいのか、という気持ちがあったが、地元に協力できてうれしい。回天を多くの人に知ってもらいたい」と話していた。(桑田勇樹)

回天
 多量の爆薬を搭載した魚雷に、1人乗りの操縦室を取り付けた特攻兵器として旧日本軍が1944年に採用。周南市の大津島などの基地から潜水艦で20歳前後の若者が出撃し、敵艦に体当たりした。訓練を受けた搭乗員1375人中、106人が戦死。整備員なども含めると死者は145人に上った。

(2014年3月30日朝刊掲載)

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