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社説・コラム

ヒロシマの支援 UNHCR駐日代表に聞く

■記者 見田崇志

 広島市で29日に閉幕した対アフリカ人道支援セミナーでは、難民に加え、国外へ逃げられない国内避難民の支援が論点となった。ヒロシマが果たせる役割は何か。出席した国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のヨハン・セルス駐日代表(50)に聞いた。

 -難民問題の現状と課題は何ですか。
 アジアではアフガニスタンで約300万人、イラクでも約200万人の難民がいる。アフリカではコンゴ(旧ザイール)の内戦が激化し、この数日間で25万人の国内避難民が発生した。しかし治安が改善すれば関心は薄れ、深刻な人道被害が忘れられ、危機感を持っている。

 -被爆地の広島が果たせる役割は。
 原爆で家や家族を一度に失った人たちは難民と同じ、もしくはそれ以上の苦しみを体験した。痛みを共有するヒロシマの支援は、必ず復興できるというメッセージになる。支援の先頭に立ってほしい。

 -市民にできることは何でしょうか。
 日本でも入管難民法改正で近年は難民認定者数が増えている。セミナーなどで基礎知識を私たちと共有するのが第一歩。難民の帰還先や避難先での定住には困難が多く、日本でも地域にどう溶け込めるかを考えてほしい。

 セミナーで発表されたように広島の非政府組織(NGO)の支援も始まっている。アプローチがあれば連携できる可能性もある。私たちも難民キャンプでの水の確保、公衆衛生の改善など、NGOが得意な分野を伸ばす手助けをワークショップなどを通じて展開したい。

(2008年11月30日朝刊掲載)

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