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社説・コラム

斉藤環境相インタビュー 要旨

■記者 毒ガス問題取材班

 竹原市大久野島沖で毒ガス兵器とみられる不審物が放置されている問題を受けた、17日の斉藤鉄夫環境相へのインタビュー要旨は次の通り。

  ―不審物の発見からほぼ半年が経過しました。対応が遅かったのでは。
 1月19日の発見後、ただちに呉海上保安部に通報した。一方で、今回の不審物は仮に化学兵器であっても旧日本軍の発煙筒の一種「あか筒」とみられ安全上の問題はないと高い確率で類推できた。対応は、内閣官房が総合調整するという閣議決定されたルールに従った。

 ―その調整に時間がかかり、「縦割り行政」の弊害との指摘もあります。
 発見の場所や状況にいろんなケースがある。最も適した部署が対応するというルールは当然で、縦割りの弊害とは考えていない。ただ、地域住民の不安に迅速に応えるという点では反省もある。今、約20個の不審物の引き揚げ、分析の契約を準備している。8月にも着手したい。

 ―中国新聞の潜水取材でも約15個の不審物が見つかっています。送水管工事の調査でも367カ所で金属反応が出ました。
 約15個については今回の約20個と同じ種類ではないかと聞いているので、分析結果を踏まえて決めたい。金属反応はいろいろなごみなどにも出る。工事を中止した今となっては、調査の必要はないと考える。

 ―大久野島周辺の本格的な調査は必要ありませんか。
 広島県による海中汚染物質のモニタリングで、毒ガス成分のヒ素は検出されておらず、自治体や住民からの海洋生物の異常に関する報告もない。島内で過去に発見されたものは適切な汚染除去、封じ込めがされた。現在得られている情報では、調査の必要はない。

大久野島海底送水管敷設事業
 島内の土壌から検出された毒ガス原料のヒ素対策に、島を所管する環境省が計画。2004年度から井戸水の使用を中止、水を給水船で運んでおり、宿泊施設の休暇村大久野島などに水を安定供給するのが目的。対岸の竹原市忠海までの2・4キロの海底に管を埋設する予定だったが敷設工事前の今年1月、毒ガス兵器とみられる不審物が見つかり工事を断念した。総事業費約5億7500万円で約75%が支出済みだった。

(2009年7月18日朝刊掲載)

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