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社説・コラム

天風録 「首相の動静」

 本紙朝刊2面に「首相の動静」欄が毎日載る。再生途上にある日本丸の船長の日誌である。先の国会で与党の実力者は「知る権利を超えていないか」と特定秘密扱いをにおわせた。かえって注目度が上がったかもしれない▲この一年の欄をめくると、首相の「月イチ」主義に気付く。ほぼ月1回は外遊を欠かさず、東北の被災3県にも小まめに出向いている。これなら夏から月イチ同然のゴルフくらい、みんな大目に見るだろう▲政権発足1年のきのうは、年1回のこだわりも明らかにした。靖国神社の参拝である。年内は見送りの観測さえ永田町では流れていた。それほどまでして隠し抜いた思いの根っことは何なのか。とことん承りたい▲月イチで耳目を集め、丹念に支持率を得る。そうして固めた政権基盤を元手に、ここ一番で勝負に打って出る。特定秘密保護法の強引採決でも同じ手法がうかがえた。もしやカジノ議連にも名を連ねる首相の隠れた才覚では▲首相の手元には第1次政権の反省点を記したノートがあると聞く。靖国参拝はよほど心残りだったらしいが、今回の動静欄には米国も眉をひそめているよう。反省ノートの続きが気になってくる。

(2013年12月27日朝刊掲載)

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