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『核兵器はなくせる』 新政権の安保と外交を聞く <2> 民主党衆院議員 鉢呂吉雄氏

■記者 林淳一郎

  ―新政権を担う民主党として、「核兵器廃絶の先頭に立つ」道筋をどう描きますか。
 被爆国として核兵器保有国に対し、核削減や廃絶を粘り強く説いていく。核を持とうとする国も含め、核兵器は人類を滅ぼすことを各国の政治指導者に伝えなければならない。

 国際的に訴えていく場を日本が率先してつくる必要がある。オバマ米大統領も核をめぐる国際会議を提唱している。国連総会も大事なアピールの場となる。

被爆地と連携

  ―外交を通じて原爆被害を広く知らせていくということですか。
 被爆地広島、長崎両市との連携も重視したい。頭で核兵器について考えても、その本質はなかなか分からない。長年にわたる放射線被害について、日本は世界に知らしめる責任がある。これまでの政府にはその姿勢が見えなかった。

 ―被爆国でありながら米国の核抑止力を求めてきた政府の姿勢は改めるべきだと思いますか。
 アジアにも核保有国がある中、米国の核抑止力が必要かどうか、現段階では判断しにくい。だが、将来的には廃絶を見据え、核抑止力に頼らない方向に進めなければならない。北朝鮮が核実験をすれば米国に「核の傘」での安全保障を求める、という流れは変える必要がある。

 社民、国民新党との連立協議も大詰めとなった。核兵器廃絶に向けた国際世論の高まりにどう対応するか、日本の外交手腕が問われる場面だ。非核三原則についても、法制化がいいのかどうか、状況を見ながら被爆国としての姿勢を決める。

説得を試みる

  ―具体的な構想は。
 北東アジア非核兵器地帯条約の構想がある。北朝鮮、韓国、日本が非核地帯となり、核兵器国の米国、中国、ロシアがそれを認める。既に世界で多くの非核地帯条約が発効している。北朝鮮を説得し、現実化のステップを考えたい。

  ―どう説得するのですか。
 北朝鮮が既に、核弾頭をミサイルに搭載して発射できる態勢にあるのかどうかも分からない。そういう中で、脅威とみて先制攻撃も辞さないといった対応は認めるべきではない。

 北朝鮮をどうやって国際協議の場に戻すかがポイントだ。日朝間の対話も重要になる。その先に拉致問題の解決があり、経済協力、国交正常化、北東アジア非核化への道が開ける。

 はちろ・よしお
 1948年北海道生まれ。北海道大卒。90年の衆院選以来、当選7回。民主党で国対委員長、選対委員長などを歴任し、2007年から「次の内閣」ネクスト外相。

(2009年9月9日朝刊掲載)

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