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ウラン国外輸送を拒否 IAEA草案 イラン交渉責任者言明

 イランの核交渉責任者、ジャリリ最高安全保障委員会事務局長は21日、イランが製造した低濃縮ウランの大半を国外に輸送して研究用原子炉の燃料として返還を受けるとした国際原子力機関(IAEA)の草案について「(欧米による)政治的な圧力があり、受け入れられない」と述べ、全面的に拒否した。都内で行われた共同通信との会見で述べた。

 「核爆弾1個分」に匹敵するウラン1.2トンをイラン国外に持ち出す草案について、欧米は「核問題打開の切り札」として重視しており、年内に受け入れられなければ制裁を強化するとオバマ米政権は警告。交渉を取り仕切るジャリリ氏が真っ向から否定したことで、追加制裁に向けた動きが一層強まりそうだ。

 ジャリリ氏は「がん患者治療のため(アイソトープが製造できる)燃料が必要だ」と強調。その上で、IAEAなどが提案しているウラン輸送の「量」が多すぎると主張し、貯蔵する濃縮ウランを一度に国外に持ち出すことはできないとした。

 また「取引であれば、渡したと同時に相手からもらう必要がある」と述べ、あくまでウラン輸送と同時に、研究用原子炉の燃料が提供されなければならないと訴えた。さらに「提供がなければ、自分たちで生産する」として、自力でウラン濃度を高める構えも見せた。

(共同通信配信、2009年12月22日朝刊掲載)

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