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五輪招致 JOC、共催案認めず 広島市「単独」も模索

■記者 下手義樹、岡田浩平

 日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長は25日、2020年夏季五輪の招致を検討している広島市の秋葉忠利市長と長崎市の田上富久市長に対し、五輪憲章が定める「1都市開催」に抵触する共催案を認めない方針を伝えた。会談後、秋葉市長は選択肢の一つとして「広島単独開催」を模索する考えを示した。

 秋葉、田上両市長は、東京都渋谷区のJOCを訪問し、竹田会長たちと会談した。その席で竹田会長は、今月上旬に国際オリンピック委員会(IOC)の幹部と協議し「五輪憲章を2020年大会に変えることはできない」との見解を確認したと説明。「憲章を守る立場のJOCとしては推薦することはできない」と述べた。

 一方で、竹田会長は「広島市、長崎市のどちらかが単独で立候補すればチャンスはある」と打診。さらに青少年の教育目的に新設されたユース五輪の招致や、五輪関連の国際シンポジウムの開催なども提案した。

 その後、秋葉市長は出席した指定都市市長会議で「形の上では広島が開催都市として手を挙げ、長崎が協力する形になるかもしれない」と発言。各市に「応援団」として協力を呼び掛けた。会議後、秋葉市長は「一つの可能性として単独開催もある」と語った。

 長崎市の田上市長も「長崎での単独開催は無理だが、競技を開催する可能性がゼロになったとは考えていない」と話している。

 これまで被爆地である広島、長崎市は「平和五輪」を前面に招致を検討。施設整備や財政面の課題を解決する手法として、複数都市による開催の可能性を探ってきた。12日にあった招致検討委員会の第2回会合には大阪府、大阪市、北九州市など23自治体が参加し、賛同の輪も広がっている。

 今回、JOCが共催案を「認められない」としたことで、招致検討委は、地方都市・広島での単独開催の可能性も含め、厳しい判断を迫られることになった。

 JOCは、国内候補都市の選定期限について「世界情勢を見ながら戦略を立て、2011年春まで引き延ばすことも可能」としている。

勝てる計画を期待 竹田恒和・日本オリンピック委員会会長の話

 広島が単独で開催するならば平和の理念というインパクトもあり、招致に勝てる最高の計画を期待したい。東京を上回る計画が出来上がれば(国内候補都市選定で)いい戦いになると思う。

(2009年12月26日朝刊掲載)

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