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連載・特集

『ずばり聞きます』 英兵士慰霊プレートの移設見通しは

■保存の会発起人 南沢満雄さん

急ぎ計画 記念館構想も

 尾道市向島町の旧向島紡績工場の解体に伴い、今月末にも英兵士慰霊のメモリアルプレートが取り外される。どう保存するのか。10年前に設置を呼び掛けた南沢満雄さんに今後の見通しを聞いた。(鈴木大介)

 ―移設のめどは。
 旧工場敷地内の南東側が最有力。地権者と進出する商業施設の出店者から、約110平方メートルの土地提供を受けられるが、その場所にするかは確定していない。れんがと合わせた再設置のデザインや意見を早急に集め、プランを提示したい。

 のこぎり屋根の工場建物は建造物の価値があり、遺族も訪れるので残したかった。建物の耐震性を補強する資金などが足りず断念するしかなかった。

 ―移設費用はどうやって捻出しますか。
 行政からの援助が得られないので、れんがの販売や募金で賄う。会合で捕虜収容所の史料を展示する記念館の建設構想も出ている。議論を深め、最善のやり方を選びたい。

 ―保存の意義は。
 追悼の心を表し、日英の友好の証しを残す。戦時中、この地に捕虜収容所があった事実を知り、歴史に学ばねばならない。活動を通じて戦争の歴史や国際交流を継承していく意義は大きい。向島のにぎわいづくりに、一助となればうれしい。

みなみざわ・みつお
 岩手県出身。栃木県職員などを経て、1985~2010年、向島キリスト教会の牧師を務めた。70歳。

≪メモリアルプレート保存問題≫
 1942~45年に向島町の捕虜収容所で亡くなった英兵士23人を追悼し、南沢さんたち有志が2002年、収容所跡の向島紡績の建物にプレートを設置した。昨年末、同社の閉鎖・建物解体に伴い、移設が取り沙汰されている。

(2012年6月9日朝刊掲載)

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