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連載・特集

「トホホ福島日記」 ④ 「がんばろう」に違和感

 福島市は3・11から何も変わりない。コンビニには物があふれ、ファミレスでは人々がおしゃべりしながら食事をしている。街を歩いて気付くわずかな変化は「がんばろう福島」の文字が時々見られることぐらいだろう。

 それは一見、街を応援する、けなげな活動の一つに見える。しかし、この「がんばろう福島」の言葉に、明言しがたい違和感を覚えるのは僕だけだろうか。

 「がんばろう」は宮城、岩手にもたくさんあるのだろうと思う。しかし、福島は現在も放射能汚染の不安に覆われている。「がんばろう」の一言が持つ意味は、宮城や岩手とは違いはしないだろうか。

 もしこの放射能汚染が後に障害を引き起こすものであったとしたら―。そう考えると、この土地に残って「がんばろう」と呼び掛ける言葉は全く見当違いに受け取れる。犯罪性を帯びることにもなる。それは僕の単なる杞憂(きゆう)なのだろうか。(漫画と文・福島市の高校美術教師 赤城修司さん)

(2012年4月10日朝刊掲載)

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