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「トホホ福島日記」 ⑥ 子が語らない原発問題

 福島の子どもたちの様子が知りたいと言われて、震災がれきや原発稼働ゼロの問題について、子どもたちに無理やり質問してみた。

 結果は予想通り。特に熱意を帯びたものとか、強い意見とか、困った様子とか特別なものは伝わってこない。無味無色である上に、放射線による障害発生が晩発性である低線量被曝(ひばく)の特徴をよく表している。

 実際に高校生の暮らしは何も変わっていない。テレビをつければアイドルが歌い、街に出ればコンビニにいつも通り商品がある。

 もちろんこういった質問は、誰にするかによって大きく違ってくる。避難生活経験の有無や、失ったものによって全く違った答えが返ってくるだろう。それにしても福島では生活の中で、特に放射線や原発のことが語られるということはない。ことさらない。それは奇妙なことだろうか。

 中国新聞を読んでいる皆さんの家庭や職場、学校では、原発の問題が語られているのだろうか。(漫画と文・福島市の高校美術教師 赤城修司さん)

(2012年6月19日朝刊掲載)

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