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連載・特集

「トホホ福島日記」 ⑦ エネ問題語る 9歳の娘

 テレビがバラエティー番組を放映しているその時、福井県おおい町の関西電力大飯原発前では若者が夜を徹して抗議行動をしていた。僕はそれをインターネットの市民中継で眺め、テレビと現実のずれを感じていた。家人にそのことを話してみたが、僕が思っていたような感想はもらえなくて、あっさりと会話は流れていった。

 無理やり夫婦の会話に割って入った9歳の次女は、自分なりにエネルギー問題を考えている。

 原発事故問題に強い反応を示している僕の子どもとして、次女は、福島から会津の祖父母宅に住民票を移し、仮住まいを続けている。それによって得たものも、なくしたものも、混然としていて、今はこの行動の是非を判断できない。

 そしてこの生活がいつまで続くのか、家族の誰も分からないまま、もうすぐ500日を迎えようとしている。マラソンみたいにゴールの場所が決まっていれば、頑張りようもあるのにと思う。(漫画と文・福島市の高校美術教師 赤城修司さん)

(2012年7月17日朝刊掲載)

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