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NPT準備委 共同声明起草 ミンティ南ア大使に聞く 核軍縮迫る機会逃す

 核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第2回準備委員会で、「核兵器の人道的影響に関する共同声明」に被爆国日本は賛同しなかった。声明を起草した南アフリカのアブドゥル・ミンティ駐ジュネーブ大使(73)に26日、受け止めを聞いた。 (ジュネーブ発 田中美千子)

 ―日本の対応をどう感じますか。

 非常に遺憾だ。核兵器使用の道義的問題を訴える内容の声明で、被爆地広島、長崎で何が起きたか知る人は誰も反対できないはずだ。それを政治問題と捉え、賛同を見送ったのなら無念だ。日本政府は「次は声明に参加したい」と言っているが、核保有国にさらなる核軍縮を迫る大事な機会を逃した。

 ―日本は「いかなる状況下でも」核兵器が再び使用されないことが人類生存に寄与する、との文言の修正を求めました。

 どこが問題なのか、逆に聞きたい。核兵器使用が正当化される場合など、あるのだろうか。北朝鮮が相手なら使ってもいいと言いたいのか。ヒロシマ、ナガサキが再び繰り返されることは決して許されない。

 賛同国を増やすため「非合法化」の文言は削り、事前に声明文も送っていた。日本が修正を求めてきたのは24日、発表の数時間前だった。既に70カ国以上が賛同していた。スイスなど他の声明主導国にも相談したが、やはり難しい、となった。

 ―被爆地に期待することはありますか。

 広島には1970年代に2度、アパルトヘイト(人種隔離)政策と闘った現与党アフリカ民族会議(ANC)の一員として訪れた。

 原爆資料館を見学し、病床の被爆者とも会った。核兵器の恐ろしさを身をもって知る被爆地広島には、これからも道義的なリーダーでいてほしい。世界に、そして日本政府に、今回の声明賛同国の訴えを支持するよう働き掛けてほしい。

(2013年4月27日朝刊掲載)

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