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連載・特集

永田町発 どうする憲法改正 <2> 民主 江田五月最高顧問

争点化より虚心の議論

 ―民主党は憲法改正論議の軸足が定まらない印象があります。
 党内にさまざまな意見はあるが、2月に作った党綱領に「未来志向の憲法を構想していく」と明記した。今の憲法は基本的に良いが、制度設計上の問題点や時代の変化に合わない部分がある。改正はやぶさかではない。堂々と議論したい。

 ―国会の発議要件を緩和する96条の先行改正に反対しています。
 手続き論ではなく、改正の中身を議論すべきだからだ。先行改正を主張する人たちは、国防軍の創設など改憲案を具体化している。衣の下によろいが見え見えなのに、さあ衣だけ変えましょうという姑息(こそく)なごまかしは駄目だ。

 ―改憲を参院選の争点にしますか。
 与党・自民党が争点にするなら選挙を通じて議論することになるが、どうも自民党は腰砕けのようだ。そもそも選挙で3分の2以上の議席を取って改憲しようという発想が間違い。党派を超え、各党が虚心坦懐(たんかい)に話し合って合意できる改憲案を作りなさい、というのが憲法の思想だと思う。

 ―具体的にどこを変えるべきですか。
 例えば9条には、理念を表現し切れていない部分がある。武力行使を禁じる国連憲章も、急場で間に合わない時は自衛権を認めている。9条に3項目を追加し、抑制的な自衛権の是認と集団安全保障(国連軍)への参加を明記した方がいい。ただし、集団的自衛権の行使を認める必要はない。

 ―今後、論議をどう進めるべきですか。
 今の憲法は駄目だから変えようという考えでは進まない。占領下に作られたのは事実だが、経済成長し、世界有数の国になった歴史は今の憲法の下にある。良い憲法をさらに良くしようという前向きな考え方でないと。

 私は憲法が施行された翌年の1948年に小学生になり、義務教育で憲法を学んだ「憲法の申し子」世代。私らの世代が憲法に掛けられた「かんぬき」を抜き、国民投票でより良い憲法にしていく責任があると感じている。(藤村潤平)

(2013年5月27日朝刊掲載)

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