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社説・コラム

トップに聞く 上関原発 どう対応しますか 山口県 村岡嗣政知事

中電の回答踏まえ検討

エネ政策は国の判断

 中国電力による上関原発建設予定地(山口県上関町)の公有水面埋め立て免許の延長申請をめぐり、山口県が中電に求めた5度目の補足説明の回答期限が11日に迫った。原発新増設に対する国の方針が示されない中、許可、不許可を判断する免許権者としてどう対応するのか。2月25日の就任から間もなく50日を迎える村岡嗣政知事(41)に聞いた。(村田拓也)

 ―11日は、補足説明の回答期限です。
 回答はまだきていない。期限までに回答があるだろうから、その内容を踏まえて県の対応を考える。許可か、不許可か、再度の補足説明を求めるのか。判断で排除する選択肢はない。

 ―原発立地を左右する判断なのに、中電とのやりとりの中身が県民には見えません。
 手続き中の話で、情報公開に制約があるのは仕方がない。審査が終わった段階では、公開できる情報は出して、判断に至った説明をしないといけない。

 ―政府は11日、原発再稼働を進めると明記したエネルギー基本計画を閣議決定する方針です。上関を含む新増設については触れられない見通しですが、どう評価しますか。
 基本計画は国のエネルギー政策を整理するもので、しっかり議論してほしい。ただ上関原発に関して県が進めているのは公有水面埋立法に基づく手続き。免許権者として中電の回答を待って検討する。それが法にのっとった対応だ。

 ―原発の是非についての考えを教えてください。
 東日本大震災と福島第1原発事故を経験し、原発はできるだけ少ない方が望ましい。多くの国民が不安を感じており、声はきちんと受け止める必要がある。一方で、エネルギー政策は国民生活の安定や経済の発展に大きく関わる。エネルギーにはメリット、デメリットがあり、最適な組み合わせは国が考えることだ。

 ―故山本繁太郎前知事は安倍晋三首相(山口4区)に「足下(そっか)の県」と発言し、批判を受けました。
 私が「足下の県」という表現を使う予定はない。国と地方の関係は上下主従ではなく、対等協力。国に協力、協調はするが、県民の立場から言うべきことは言っていく。国と考えが違う局面では互いにしっかりと議論し、納得できるものにしていくことが必要だ。

 ―その姿勢は、米軍再編問題でも変わりませんか。
 KC130空中給油機を米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)から米海兵隊岩国基地(岩国市)へ移転させる計画を容認し、今後は空母艦載機が移ってくる。沖縄に集中する基地負担を全国で分かち合うことは重要だが、岩国ではこれ以上の負担増は認められない。

上関原発建設計画の埋め立て免許
 山口県上関町長島の建設予定地の海上部分約14万平方メートルを埋め立てる。県は2008年10月に免許を交付。中国電力は09年10月に工事を始めたが、反対派の抗議や福島第1原発事故の影響でほとんど進まないまま、12年10月に免許の期限切れを迎えた。中電は期限切れ直前の同月5日、免許の3年延長を県に申請。県は期間内に工事を完了できなかった理由などを中電に繰り返し照会し、昨年3月4日には故山本繁太郎前知事が免許の可否判断を1年程度先送りすると表明。同月19日、今月11日を回答期限とする5度目の補足説明を求めた。

(2014年4月11日朝刊掲載)

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