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ひろしまレポート 北朝鮮 全分野で最低点 核軍縮など31ヵ国採点 露・中国も低迷

 広島県は7日、「核軍縮」「核不拡散」「核物質の安全管理」の3分野で、世界31カ国を採点した「ひろしまレポート」を発表した。昨年に続き2回目。北朝鮮が前回に続き全分野で最低点だった。核兵器保有5カ国では、核軍縮に消極的なロシアと中国が低迷した。日本は核物質の安全管理で17位にとどまった。(金刺大五)

 対象は地域バランスなどを考慮し、前回より非保有国を12増やして31カ国とした。内訳は核拡散防止条約(NPT)で認められた保有国5、事実上の保有国4、非保有国22。県が委託したシンクタンク「日本国際問題研究所」(東京)が主に2013年の各国の対応を評価項目ごとに加点、減点した。満点は保有の有無と分野ごとで異なるが、それぞれ100点満点に換算した評点率を示した。

 核軍縮では、核兵器保有数や国連総会での対応などをチェック。5大国(94点満点)は、8500発の核弾頭を持つロシアの評点率が10・6で最も低い。核戦力を増強した中国は11・7。米国は21・3だった。

 事実上の保有4カ国(91点満点)はいずれも5大国よりも低く、10未満。昨年2月に3回目の核実験をした北朝鮮は加点より減点が多くマイナス7・7で、イスラエルもマイナス1・1だった。

 非保有国22カ国(39点満点)では、核兵器不使用などを訴える国連での声明を主導したニュージーランドが71・8でトップ。国連のハイレベル会合を主導したオーストリアと、市民社会との連携に積極的なスイスが各67・9で続く。

 核軍縮の分野で前回首位だった日本は、米国の「核の傘」への依存などが減点対象となり5位だった。核不拡散はNPTに入っていないインドと原子力協定締結に向け協議していることなどから4位。原子力発電で発生するプルトニウムの保有量が多いため、核物質の安全管理も17位だった。

 今回は、評価項目を3増やし、評価基準では「核実験の実施」「核抑止への依存」でマイナス評価を導入したため、点数などは前回と単純比較できない。レポートは当面、15年度までの3回を予定し、それ以降は検討するとしている。

(2014年4月8日朝刊掲載)

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