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波紋 特定秘密保護法 個人の声を廃止の力に 中国地方 市民団体 署名集めや集会

民間人にも罰則「人ごとではない」

 特定秘密保護法の廃止を求める機運を高めようと、中国地方の市民団体などが署名集めや街頭アピールに取り組んでいる。国民の「知る権利」や表現の自由を侵害する恐れも指摘される同法は年内に施行される。各団体は危機感を強め積極的に活動している。

 「行政だけが情報を握り独裁政治につながる恐れも」。会社員や弁護士たちでつくる「秘密法廃止!広島ネットワーク」のメンバーは6、13日、広島市中区の繁華街で問題点を訴え、同法の廃止などを求める署名を呼び掛けた。

 署名集めは1月に始めた。広島県内の他団体と連携し、5月までに県内で30万人分を集めて衆参両院に出すのが目標で、既に5万1788人分の署名を得た。署名した東区の会社員坂本和隆さん(28)は「政府は情報を積極的に公開し、国民に意見を求める機会を増やすべきだ」。メンバーの高麻敏子さん(74)は「根気よく訴え、施行を阻止したい」と意気込む。島根県弁護士会も2月から廃止を求め署名活動を続ける。

 同法は防衛や外交などの情報を「特定秘密」に指定。漏らした公務員らに最長懲役10年を科し、漏えいを唆した民間人らにも最長懲役5年の罰則がある。自衛隊や米軍基地に向き合う市民団体は警戒を強める。

 海上自衛隊のある呉市では、平和団体「ピースリンク広島・呉・岩国」も10日にJR呉駅前で同法への反対を訴えた。「市民も秘密に触れる可能性がある。人ごとではない」と説明する。護憲を訴える「九条の会・呉」は6月にも市民向けの学習会を開く予定。

 米海兵隊岩国基地がある岩国市では、基地の強化に反対する「住民投票の成果を活かす岩国市民の会」が昨年12月、抗議集会を市内で開催。大川清代表(55)は「政府が情報を隠し、知らないうちに基地が拡大する恐れもある。ひるまず声を上げる」と力を込める。

 憲法記念日の5月3日には、福山市のグループ「STOP『秘密保護法』福山緊急行動」が市中心部でデモ行進し、市民に同法への反対を呼び掛ける。広島市中心部でも「秘密法廃止!広島ネットワーク」がデモ行進を予定している。

(2014年4月22日朝刊掲載)

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