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安全審査長期化か 島根原発周辺断層 追加調査に2、3ヵ月 過酷事故対策も論点

島根原発周辺断層 追加調査に2、3ヵ月

 中国電力が再稼働を目指す島根原子力発電所2号機(松江市鹿島町)の安全審査が、長期化しそうだ。原子力規制委員会の指摘を受け、中電は原発周辺の四つの活断層を追加調査することになった。調査は2、3カ月かかる見通しで、その後も過酷事故対策などの論点が控える。終了時期は不透明さが増している。(山本和明、樋口浩二)

 中電が追加調査をするのは、原発北西の海域にある活断層(総延長約51・5キロ)、東の鳥取沖西部断層(約37キロ)、西の大田沖断層(約47キロ)。加えて原発南約2・5キロにある宍道断層(約22キロ)も調べる。規制委が断層の長さが妥当かどうか現状のデータで判断できず、追加調査や詳細な資料の提出を求めていた。

 原発周辺の活断層は、耐震性評価に使う基準地震動の策定に影響するため、審査の重要なポイントとなる。特に宍道断層は住民の関心が高い。中電は当初、原発近くに考慮すべき活断層は「存在しない」としていたが、8キロ、10キロ、22キロと相次ぎ訂正してきた経緯があるからだ。

 市民団体「さよなら島根原発ネットワーク」の杉谷肇共同代表(72)は「断層はさらに長いと言う専門家もいる。調査は当然」と指摘。「第三者機関が公正な立場で調査し、事実をはっきりさせて」と求める。

 海域の追加調査は約3カ月、宍道断層は2、3カ月かかり、データ解析にもさらに時間が要る。中電は調査の手法やエリアを詰めて速やかに実施する考えだ。

 さらに、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)の審査を優先的に進める規制委の方針も影響する。規制委は同原発の審査に人員を集中させる方針で、島根は「設備面の審査がほとんど進んでいない」(中電幹部)。規制委は地震・津波関連と設備面の2グループで審査するが、設備の審査会合は一度も開かれていない。

 設備面でも論点は多い。福島第1原発と同じ沸騰水型の島根2号機に即時設置が義務づけられているフィルター付き排気(ベント)設備もその一つ。事故時に放射性物質を薄めて放出するため、性能や運用方法が焦点となる。厳しい指摘が寄せられる可能性がある。

 規制委は当初、安全審査の期間について一般的に「半年程度」との見通しを示していた。島根原発の審査は1月に開始。6カ月を超えるのは確実な状況だ。

 中電島根原子力本部の長谷川千晃副本部長は「(規制委から)相当深掘りされると思うが、真摯(しんし)に対応する」と話している。

(2014年4月27日朝刊掲載)

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