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核軍縮 道筋探る 広島市長知事参加 NPT準備委開幕

 2015年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向けた第3回準備委員会が28日、米ニューヨークの国連本部で開幕した。NPT加盟約190カ国が5月9日までの会期中、核軍縮や核不拡散をめぐって、課題を整理し、道筋を探る。広島県の湯崎英彦知事と広島市の松井一実市長が初めてそろって参加。各国政府へ「核兵器のない世界」の早期実現を訴える。 (ニューヨーク発 田中美千子)

 準備委は5年に1度の再検討会議の合間に開かれ、今回が最終回。初日は、エンリケ・ロマン・モレイ議長(ペルー)の進行で、各国が核問題を演説する「一般討論」からスタート。最終日までに、再検討会議への勧告の採択を目指す。

 日本からは岸信夫外務副大臣が非核保有12カ国による「軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)」を代表して演説。11、12両日に広島市で開かれた外相会合で参加国が被爆の実態に触れたことを紹介し核兵器廃絶に向けた努力の必要性を訴えた。

 10年の前回NPT再検討会議は、軍縮策など64項目の行動計画を含む最終文書に合意した。これに基づき、今回の準備委は核兵器を持つ5大国が軍縮の取り組み状況を報告する。核兵器の非人道性と、非合法化をめぐる議論への各国の言動も注目される。

 開幕を前にニューヨーク入りした湯崎知事と松井市長は27日、01年9月11日の米中枢同時テロで倒壊した世界貿易センタービル跡地「グラウンド・ゼロ」を訪れ、花輪を手向けた。居合わせたテロ犠牲者の遺族に声を掛けられる場面もあった。

 29日にある準備委の非政府組織(NGO)セッションで平和首長会議会長として演説する松井市長は、記者団に「原爆がどれほど人々に苦しみをもたらしたのか、しっかりと訴える」と強調。湯崎知事も30日の県主催のパネル討議に向け「テロも原爆も、市民を攻撃対象にした非人道的な行為。核兵器廃絶への思いを重ねてもらえるよう努める」と話した。

(2014年4月29日朝刊掲載)

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