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被爆地「ぜひ実現を」 サミット広島誘致へ 歓迎や課題指摘の声

 広島市が2016年の主要国(G8)首脳会議(サミット)誘致の検討を進めていることを明らかにした26日、被爆地に「ぜひ実現を」と、期待の声が上がった。

 「核兵器廃絶に、新たな希望が開けるはずだ」。広島県被団協の坪井直理事長(89)は、誘致方針を歓迎する。念頭にあるのは、4月に広島市で開かれた核兵器を持たない12カ国でつくる「軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)」外相会合。「出席者は、被爆者の証言が胸に響いたと言った。同じように、何かを感じ取ってもらいたい」  松井一実市長が会長を務める平和首長会議は今から6年後の20年を核兵器廃絶の目標年としている。

 「『核なき世界』を掲げるオバマ米大統領の在任中に広島サミットが実現すれば、その流れはぐっと強まる」と、同会議の事務局を務める広島平和文化センターの小溝泰義理事長(66)はみる。広島商工会議所の深山英樹会頭も「15年の被爆70年に続き、各国のトップに広島を訪れてもらういい機会。経済界としても歓迎する」と話した。

 広島の観光客も、サミット誘致に共感を示す。この日、原爆資料館を見学した東京都江東区の会社員坂井喜弘さん(36)は「核兵器保有国の為政者には広島訪問が必須。影響を知り、自国で伝えてほしい」と訴えた。

 広島県地域政策総務課は「市が正式に誘致に手を挙げれば全力で応援する」。ただクリアするべき課題は多いとも指摘。「県と市の役割分担などを協議しないといけない」とした。

 もう一つの県被団協(金子一士理事長)の大越和郎事務局長(74)は、サミットはNPDIや核拡散防止条約(NPT)再検討会議などと違い、核軍縮を話し合う場ではないはずだと会議自体には否定的。「ただ被爆の実態を被爆地で見ることには意味がある」と話した。

(2014年5月27日朝刊掲載)

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