×

ニュース

被爆手帳却下「取り消しを」 広島地裁に提訴

 原爆投下時に爆心地から約2キロの広島駅(広島市南区)にいたのに、被爆者健康手帳の交付申請を却下されたのは不当として広島市西区の女性(82)が27日、市の却下処分の取り消しを求めて広島地裁に提訴した。

 訴状によると、当時13歳で尾道市の生口島に住んでいた女性は知人に食糧を届けるため、8月6日午前5時ごろ、糸崎駅(三原市)から乗車し、午前8時ごろ広島駅に到着。直後にすさまじい光と強い衝撃を受け、手首や背中にやけどなど負った。駅員の指示に従い、1、2時間ほど駅にとどまり、尾道に向かう汽車に乗ったという。

 女性は2000年ごろに白内障を発症。09、10、11年に計3回、手帳交付を申請した。市は、広島駅は当時炎上し、駅近辺にとどまったとする女性の話に確証が得られないなどとして、いずれも申請を却下した。

 中区で記者会見した女性の次男(56)は「当時の時刻表や駅員の手記などが母親の記憶と一致する」と強調した。市原爆被害対策部は「訴状が届いた段階で国と協議し、適切に対応する」としている。

(2014年5月28日朝刊掲載)

年別アーカイブ