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米給油機 移転時期伝達 岩国基地 増す存在感 山口県や岩国市、事故防止策訴え 

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のKC130空中給油機15機が7月上旬から8月下旬にかけて移転する見通しとなり、米海兵隊岩国基地(岩国市)は米軍再編の要としての存在感を増す。27日、政府から移転の具体的な時期の説明を受けた県と岩国市などは、事故防止や地域振興策を強く要望。移転に反対する市民たちは抗議の声を上げた。(野田華奈子、村田拓也、増田咲子)

 岩国市役所と県庁を訪れた岸信夫外務副大臣(山口2区)たちは「給油機は8月下旬まで、輸送のために普天間と岩国を行き来することになる」と段階的な移転を説明。「(沖縄県名護市辺野古への)普天間飛行場移設は安倍内閣の最優先かつ最重要課題の一つ」とし、給油機移転が沖縄の負担軽減につながると強調した。

 給油機15機の移転に伴い、軍人や家族たち約870人が岩国に転入する。県庁での説明に同席した周防大島町の椎木巧町長は「事故が起こることがないよう万全を期してほしい」、和木町の米本正明町長も「綱紀の保持と海兵隊員の教育の徹底を」と事件事故の防止策強化を訴えた。

 県議会の柳居俊学議長は、2017年ごろに迫る米海軍厚木基地(神奈川県)からの空母艦載機移転も踏まえ、「十分な振興策を」と要望。岸氏は1月、沖縄の基地負担軽減に協力した自治体向けの新たな交付金創設を表明している。説明後、岸氏は「鋭意検討している。15年度予算に間に合うよう進めたい」と述べた。

 一方、岩国市役所前では、岩国基地の機能強化に反対する市民団体のメンバー約30人が抗議活動を展開した。米軍住宅の建設に反対する「愛宕山を守る会」の岡村寛世話人代表は「沖縄の負担軽減という反対しづらい理由で岩国の機能強化が進む」と不安視した。

(2014年5月28日朝刊掲載)

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