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平和への願い持ち帰って 折り鶴再生紙で観覧券 原爆資料館 広島

 広島市中区の原爆資料館は4日、大人用の観覧券に折り鶴の再生紙を使い始めた。国内外から「原爆の子の像」(中区)に寄せられた折り鶴を再生する市のモデル事業で5万枚を印刷。来館者に、平和への願いを持ち帰ってもらう。

 従来は光沢があるコート紙を使用していた。新券は、デザインとサイズは変えず、折り鶴再生紙である点を明記。細かな赤や青も混じっている。米国人の夫たちと訪れた大阪市の主婦ルカシク・奈都子さん(39)は「折った人の思いを感じる。記念に持ち帰りたい」と喜んだ。

 原爆の子の像には年間10トン、1千万羽ほどの折り鶴がささげられる。秋葉忠利前市長は長期保存、展示を掲げていたが、2011年に就任した松井一実市長が活用へ方針転換。趣旨に沿って利用する個人、団体に無料で配り、市も12、13年度、再生モデル事業に取り組んだ。

 観覧券は13年度の事業で、受託した紙卸会社の木野川紙業(西区)が作った。市平和推進課は「来館者に平和への思いを届けられる。本格採用するかどうかはコストを踏まえて検討する」としている。(田中美千子)

(2014年6月5日朝刊掲載)

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