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旧海軍遺産で呉の振興を 官民で実行委 取り組み本格化 大和資料活用 公開講座など

 戦艦大和や建造を担った呉海軍工廠(こうしょう)の調査研究を深め、呉市の振興を図る官民の取り組みが動き出した。関係者でつくる実行委員会は初会合を開き、大和の資料を活用した公開講座や教育事業を本年度中に実施すると決めた。(柳本真宏)

 講座は来年1~3月に開く。市がデジタル化を進める大和の資料を用い、講師は大和ミュージアムの戸高一成館長が務める。市内や周辺の産業文化遺産を活用した体験学習プログラムも作り、修学旅行などで役立ててもらう。呉湾周辺に残る工廠関連施設の保存状況も調べ、案内パンフレットも作る。

 市は本年度、資料のデジタル化や研究に加え、鹿児島県沖に沈んでいる大和を潜水調査した約76時間の映像についても解析する。テレビ局が1999年に実施した調査だ。大和ミュージアムも来年4月に開館10周年になり、指定管理者は大和関連資料が残る米国での調査に乗り出す。

 実行委は文化財保護委員会や呉観光協会、大和ミュージアムなどの関係者10人で構成。市や指定管理者と連携しつつ、来年度までの2年計画で、大和や工廠を産業遺産、文化財と位置づけ、価値を高めていく。本年度は文化庁の補助金として900万円を確保した。

 同市では旧海軍の遺産を活用した地域活性化を求める声も出ている。以前、経済界などに大和の船体一部引き揚げに向けた動きもあった。

(2014年6月26日朝刊掲載)

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