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基地のまちは今 不安・諦め…思い複雑 米給油機岩国移転開始 市民団体が抗議活動も

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)から米海兵隊岩国基地(岩国市)へのKC130空中給油機部隊の移転が始まった15日、岩国市民の間には在日米軍再編の本格化に伴う不安や諦めなど、複雑な思いが交錯した。事件や事故がないよう求める声も相次いだ。(増田咲子、大村隆)

 基地近くの川下地区。上田綾子さん(87)は「いくら反対しても結局こうなる。国のため、みんなのためだと思わないと仕方ない。墜落や低空飛行がないようにしてほしい」と注文する。中村貞男さん(78)は「基地関係の仕事が増える」としつつ、閣議で決まった集団的自衛権の行使容認に、「有事の際、岩国基地が攻撃対象となる可能性が増すかもしれない」と懸念を示す。

 2017年をめどに空母艦載機の移転も予定される。米軍関係者は現在の倍の1万人以上に増える。川下地区で飲食店を営む西丸光子さん(64)は「町が発展すればいいが、犯罪が増えるかも」と複雑な心境。同市愛宕町の主婦須井郁さん(29)は「長男の幼稚園に基地の米国人の子がいて家族と交流している。不安を感じたことはない」と受け止める。

 基地では到着した空中給油機から早速、積み荷の燃料タンクを降ろす作業が進められた。

 一方、基地北側の今津川の堤防道路周辺には市民団体「愛宕山を守る市民連絡協議会」の呼び掛けで約40人が集まり、「空中給油機はいらない」と声を上げた。岡村寛世話人代表(70)は「基地の機能拡大に伴う国の交付金頼みではなく、若者が安心して子育てし、働けるまちづくりをすべきだ」と訴えた。

 上空が基地所属機の飛行コースになっている周防大島町。町議会岩国基地関連対策特別委員会の荒川政義委員長は「基地の情報や住民の苦情に対応する専門部署が町に必要と感じている」と話した。

(2014年7月16日朝刊掲載)

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