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被災者の苦悩 短編アニメに 福島舞台 津波で家族失った漁師描く 広島の団体 6日上映「風化させぬ」

 広島市の市民グループ「まち物語制作委員会」が、東日本大震災の津波被害で家族を失った漁師の葛藤に迫る短編のアニメーション作品を仕上げた。初めは紙芝居として制作したが、被災地など全国各地で大きい反響があり、アニメ化を決めた。8月6日夜、中区の平和記念公園内で上映する。(有岡英俊)

 港町の福島県新地町を舞台とする作品のタイトルは「命の次に大切なもの」。津波から漁船を避難させた漁師たちが港に戻ったとき、家族も家も失っていた。その後、放射線被害のために漁も断念せざるを得なくなった―との筋立てで、16分30秒にまとめた。

 「悲しみを風化させたくない」と、漁港近くで旅館を営んでいた村上美保子さん(65)が生存した漁師たちに聞き取りし、原作を考案。当初は同制作委に依頼し、紙芝居に仕立てて各地で約130回、上演してきた。

 作品の反響が大きかったため同制作委が5月、アニメーション化を決定。約20枚だった紙芝居の絵を約2500枚に作画し直した。揺れや避難を伝えるラジオの音声も使ったほか、村上さんもナレーションで出演する。

 制作委の福本英伸事務局長(57)は「被災者の苦しみを、ありのままに知ってほしい」と話している。

 当日は、原爆の子の像そばにスクリーンを設置し、午後7時から上映する。無料。

(2014年7月29日朝刊掲載)

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