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軍司令部建物の構造に迫る  原爆による広島壊滅「第一報」伝える 内容を来年展示

 広島市文化財団が、原爆による広島壊滅の「第一報」を伝えた中国軍管区司令部(中区)の建物の構造を調べている。図面などの資料が現存していないためで、調査内容は来年の被爆70年に合わせて、広島城で開く企画展で紹介する予定。(鈴中直美)

 同司令部は半地下式の鉄筋造りで、爆心地から北約790メートルの広島城本丸の一角にある。防空作戦室や通信室など4室からなり、かつては比治山高等女学校(現比治山女子高)の生徒が空襲・警戒警報の伝達業務に動員されていた。

 同財団が企画展を計画し、同司令部の図面や構造の記録や資料を探したが残っていなかった。建物を管理する市緑政課は「これまで調査をしたことがあるか分からないのが実情」と話す。

 同財団が広島工業大の十河(そごう)茂幸教授(コンクリート工学)に相談。今月、約20人がコンクリート内部の鉄筋の配置や太さを診断し、屋根や壁面の厚さも測った。十河教授は「軍の施設としてどの程度の爆撃に耐える構造で建てられたのかを明らかにしたい」と話す。9月ごろには結果が分かるという。

 企画展は、広島城と陸軍がテーマ。今回の調査内容を、パネルや図面で解説する予定。同財団の秋政久裕主任(52)は「調査結果は、建物について説明する際の貴重な裏付けデータとなる。さまざまな視点で被爆の実態を伝えていきたい」と話している。

(2014年8月20日朝刊掲載)

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