×

ニュース

被爆者たち「大収穫」 ピースボート「証言の航海」 帰国報告会

 被爆者が地球を一周しながら核兵器廃絶を訴える非政府組織(NGO)ピースボートの「証言の航海」の帰国報告会が、東京都内であった。広島で被爆した3人とサポート役の若者が、世界各地での交流や船中での体験継承の模索を約70人を前に振り返った。

 一行は、3~6月の104日間で18カ国を訪問。うちスリランカやペルーなど12カ国14都市で政府要人や現地の学生と懇談するなどした。仁保町(現広島市南区)で被爆した服部道子さん(85)=埼玉県蕨市=は、南米ベネズエラのマドゥロ大統領との面会を紹介。「平和を誓い合った。命ある限り証言を続ける」と話した。

 洋上の移動中は、乗客の若者に被爆体験を伝え、継承を考えてもらう「孫になろうプロジェクト」を試みた。服飾を学ぶ学生は、赤や黒の布とメークで被爆の悲惨さを表現。作詞作曲した若者グループもいた。中広町(現西区)で被爆した坂下紀子さん(71)=埼玉県所沢市=は「被爆体験を感じる心があれば、受け継いでもらえると分かった。大収穫だった」と強調した。

 報告会では、被爆者をサポートする「おりづるユース特使」として同行した舞台役者の浜田あゆみさん(28)=高知県いの町=が司会を務め、船内で若者が聞き取った被爆証言の朗読や歌を演劇仲間が披露した。

 浜田さんは「地球一周の間に被爆者の皆さんと家族のように触れ合い、託されたものがある。演劇を通じて今後も継承に取り組む」と誓った。(藤村潤平)

(2014年8月25日朝刊掲載)

年別アーカイブ