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被爆者、核廃絶進展に期待 広島で「賢人会議」開催検討

 包括的核実験禁止条約(CTBT)機構準備委員会の「賢人会議」を来年後半に被爆地広島で開催するよう、政府が検討していることが報道された25日、広島市や被爆者たちに歓迎の声が広がった。

 CTBTは1996年、国連総会で採択された。183カ国が署名し、うち日本を含む163カ国が批准している。しかし、条約の発効に必要な米国や中国など5カ国の批准が進んでいない。北朝鮮、インド、パキスタンの3カ国は署名もしておらず、昨年9月に各国の元首脳たちで発足した「賢人会議」が、実現に向けた活動を展開している。

 広島県被団協の坪井直理事長(89)は、被爆70年に合わせた会議の広島開催を、「条約発効は核兵器廃絶への一歩。本気になって議論を前進させてほしい」と期待した。

 松井一実市長も「実現すれば、とても喜ばしい。核実験禁止を促す知恵を出してもらえれば」と歓迎。会議参加者たちに原爆資料館(中区)の見学や、被爆者との面会を呼び掛ける考えも示した。来年は国連軍縮会議の誘致も進めており、各国の為政者たちに広島訪問を呼び掛けてきた立場から「いろいろな形で動きが出ている」と評価した。

 もう一つの県被団協(金子一士理事長)の大越和郎事務局長(74)は「CTBT発効は望ましいが、これまでの経緯をみると期待できない」と淡々と受け止める。さらに「核に頼る国々の言う『段階的な軍縮』は進まず、国際社会の目標は核兵器禁止条約へシフトしている。核実験の議論にこだわるのは世界の潮流からずれているように感じる」と語った。(田中美千子、岡田浩平)

(2014年9月26日朝刊掲載)

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