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国家補償 実現探る 東京で被団協 「基本懇」30年でシンポ

■記者 岡田浩平

 国の被爆者行政の方向を定めた1980年の「原爆被爆者対策基本問題懇談会」(基本懇)意見書を問い直し、国家補償の実現策を探るシンポジウムが12日、東京都内であった。

 被爆者問題に詳しい4人が報告。一橋大の浜谷正晴名誉教授は基本懇の議事録から、当時の委員が戦争被害に対する国民の「受忍論」を当然としたと指摘した。その上で、他の戦災者との区別のために放射線被害の「特殊性」に着目したと分析。「原爆がもたらした事実を理解しようというスタンスがない」と批判した。

 受忍論に対し、九州大の直野章子准教授は「被爆者運動は過去だけでなく未来の被害も受忍させない制度を求めている」と指摘。内藤雅義弁護士は欧州各国の戦争被害の補償の仕組みを紹介し「個人の被害を国がどう考えるかは正義の問題だ」と訴えた。日本被団協の田中熙巳(てるみ)事務局長は「政治の力で市民の被害への国家補償の法律を」と求めた。

 シンポは、厚生相(当時)の私的諮問機関である基本懇の意見報告から30年の節目をとらえ被団協が主催。約130人が参加した。

(2010年12月14日朝刊掲載)

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