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基本要求の意義確認 日本被団協 30年で記念の集い

 日本被団協が「原爆被害者の基本要求」をまとめてから30年になるのを記念した集会が19日、東京都豊島区の立教大であった。国家補償を盛り込んだ原爆被害者援護法の制定など基本要求の意義と、現代に持つ意味を被爆者や他の空襲の被害者、若者たちが考えた。

 約150人が参加。要求づくりに携わった被爆者の吉田一人さん(82)=杉並区=は、戦争被害は国民が受忍すべきだという国の姿勢について「30年たっても国のかたくなな考えを打ち破れていない」と振り返った。安倍政権の集団的自衛権の行使を可能にする閣議決定を「日本の戦争参加が現実化しつつあり、強い危機感がある」と訴えた。

 東京大空襲を体験した男性は「戦争被害は残酷なのに、政府は無責任だ」と非難。沖縄戦など戦争被害者と引き続き連帯し、戦後70年の来年に向けて政府の責任をあらためて問う考えを示した。

 集会では、被爆者と高校生、大学教授が広島の原爆慰霊碑前で基本要求などについて対話する朗読劇が劇団と合唱団の有志によって披露された。高校生たちからは「劇だと分かりやすい。いろいろ学んでいきたい」と好評だった。

 被団協の基本要求は1984年、「核戦争起こすな、核兵器なくせ」と「原爆被害者援護法の即時制定」を2本柱に発表。現在の被爆者運動の根幹になっている。(藤村潤平)

(2014年10月20日朝刊掲載)

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