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「核不使用」に日本賛同 国連共同声明 最多155ヵ国・地域参加

 日本やニュージーランドなど155カ国・地域は20日、核兵器の非人道性とその不使用を訴える声明を、国連総会第1委員会(軍縮)会合で発表した。同趣旨の共同声明は5度目。賛同国・地域数は過去最多で、国連加盟国の約8割を占めた。来年4月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け、核保有国に核軍縮を迫る圧力につながる可能性がある。

 日本が賛同するのは昨年10月に続いて2度目。岸田文雄外相(広島1区)は21日の記者会見で「核兵器のない世界の実現に向け、引き続き国際社会で現実的、実践的な取り組みを主導していく」と強調した。

 声明は「いかなる状況の下でも核兵器が二度と使われないことが人類の生存に利益となる」と核兵器の不使用を求め、「(不使用を)保証する唯一の道は、その全廃を通じたものだ」と指摘した。

 声明をめぐっては、日本政府は、米国の「核の傘」に頼る自国の安全保障政策との整合性などを理由に、3度目までは署名しなかった。今回賛同した理由について、岸田氏は「核兵器のない世界に向け、さまざまなアプローチが認められるという内容であり、わが国の政策と整合性が取れる」と説明した。

 前回声明に名を連ねたのは125カ国で、今回は大幅に増えた。155カ国・地域には、国連「オブザーバー国家」のバチカンとパレスチナ、国連非加盟の2カ国が含まれている。

 一方、日本やオーストラリアなど20カ国は20日、別の声明を発表。核兵器使用のもたらす「恐ろしい結末」に言及しつつ、核軍縮や廃絶のためには安全保障面での対応も必要で「現実主義」に基づいて取り組むべきだとの内容。昨年も同様の声明が出され、日本も賛同した。(城戸収)

非人道性への理解拡大/禁止実現の仕組み必要 ヒロシマの受け止め 「核不使用」国連共同声明 最多155ヵ国・地域賛同

 国連総会第1委員会(軍縮)で発表された、核兵器の非人道性と不使用を訴える共同声明に過去最多となる155の国・地域が賛同したのを受け、被爆地広島で21日、核兵器廃絶の実現へつなげるよう求める声が相次いで上がった。

 同趣旨の声明は2013年10月以来で通算5度目。日本はしかし前回に続き2度目の参加となる。松井一実市長は「非人道性をベースに核兵器を使うなという国が着実に増えており、喜ばしい。日本もその流れにしっかり乗っている」と歓迎。会長を務める平和首長会議が掲げる2020年までの核兵器廃絶へ、機運の高まりを期待した。

 ただ、前回の声明から1年間、核軍縮で目立った進展はない。広島県被団協の坪井直理事長(89)は賛同国の増加を「核兵器廃絶の糸口」と受け止めつつも、「必要なのは核兵器使用をきっちりと禁ずる仕組みだ。国際社会が求めても、日本や『核の傘』の下にある国は次の一歩に踏み込もうとしないのではないか」と冷静にみる。

 もう一つの県被団協(金子一士理事長)の佐久間邦彦副理事長(70)は日本の参加に関し「国際世論に押され、反対できなくなっただけではないか。形骸化しては意味がない」と指摘。「米国の核兵器にしがみつきながら、形だけ署名するような二面的態度はいけない。被爆地から働き掛けを強めたい」と気を引き締めた。(岡田浩平、田中美千子)

(2014年10月22日朝刊掲載)

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