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再生エネ普及に転機 中電 制限の可能性 出力調整の難しさネック

 再生可能エネルギーの受け入れを制限する可能性があると22日、明らかにした中国電力。現時点では受け入れの余力があるが、大規模太陽光発電所(メガソーラー)の急増などで容量オーバーが迫る懸念がある。急拡大を続ける中国地方の再生エネの普及が、転機を迎えようとしている。(山瀬隆弘)

 中国電力が想定する再生エネの受け入れの上限は630万キロワット。中電は、国が認める再生エネ発電所の合計出力がこの目安を上回るかどうかに神経をとがらせる。太陽光や風力などの再生エネは出力の調整が難しい。一斉に稼働して需要を超えると周波数や電圧が上昇。工場の稼働などに影響を与え、最悪の場合は大規模停電につながるという。

 再生エネの認定申請は年度末に集中する傾向がある。ことし1~3月の認定分は240万4千キロワット、前年同期も136万2千キロワットに上った。現時点の認定分は526万キロワットで、来年1~3月の申請量が焦点となる。

 中電はさらに、九州電力など5社が始めた買い取り制限に伴って「中国地方への申し込みが急増する」と想定。九州や四国で塩漬けになるメガソーラー計画の代わりに、中国地方に収益源を求める動きを注視する。

 今後のメガソーラーなどの計画に参考にしてもらおうと、中電は22日、自社のホームページに再生エネの普及状況や国の認定状況を伝えるコーナーを設けた。既に運転していたり、運転に向けた中電への申し込みを済ませたりした再生エネの規模などを表示する。9月末時点で433万キロワットとしている。

中電、制限の可能性 再生エネ買い取り 受け入れ上限近く

 中国電力は22日、今のペースで再生可能エネルギーの買い取り要請が増えれば、事業者からの買い取りを制限する可能性があると明らかにした。大規模太陽光発電所(メガソーラー)が急増しているためで、来春にも受け入れの限界に近づくとみられる。中電は「注意を要する状況」として詳細な調査を急ぐ。

 再生エネの買い取りをめぐっては、九州電力や四国電力など5電力会社が、出力10キロワット以上の新たな契約の受け付けを中断している。これまで中電は「当面は余力があり買い取り制限の具体的な検討はしていない」としてきた。制限されれば、中国地方で再生エネの普及が停滞することになる。

 中電は当面、受け付けを続ける方針。ただ「太陽光発電の急増という基本構図は、他の電力会社と同じ」と説明している。

 再生エネは、2012年に固定価格買い取り制度が始まってから急増。国が中国地方に整備を認めた再生エネはことし7月までに526万キロワットに上る。中電は電気の使用量が少ない春などの需要に当たる630万キロワットを、受け入れの上限の目安と位置付ける。

 今のペースで増えれば来春にも上限を超える見通し。送電網などに影響し、電気の安定供給に支障が出る恐れがあるという。制限の対象は事業者で、家庭からの買い取りは続ける。

 国は、受け付けを中断した5電力会社の対策などを考える専門部会を16日に設けた。中電は近く部会への参加を国に申し入れ、5社と一緒に検討を進める。(山瀬隆弘)

固定価格買い取り制度
 太陽光や風力など再生可能エネルギーの導入を推進するため2012年に始まった。再生エネ事業者が発電した電気を、国が定めた固定価格で長期にわたって買い取るよう、大手電力会社に義務付ける。買い取り費用は電気料金に上乗せされる。経済産業省の委員会が毎年、買い取り価格を見直す。

(2014年10月23日朝刊掲載)

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