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艦載機「容認」が多数 岩国新市議に32人 基地反対勢力も議席増 市民、変化に期待

 26日投開票された岩国市議選で、新市議32人が決まった。米海兵隊岩国基地への空母艦載機移転に対する姿勢は「容認」が引き続き多数を占めたものの、基地機能の拡大に反対する勢力も議席を伸ばした。投票率が過去最低の57・40%となる一方、新人の大量当選は市議会の現状に変化を求める市民の意思表示といえる。(野田華奈子、増田咲子)

 32人の内訳は現職22人、元職2人、新人8人。共産党が1増の4人で、自民党(1人)と公明党(4人)は議席数を維持した。無所属は23人。旧市町村別では、岩国18人▽周東4人▽由宇3人▽玖珂3人▽美和2人▽錦1人▽美川1人▽本郷0人。岩国1減、由宇2減で、周東、玖珂、美和が各1増となった。

艦載機移転に対する姿勢

 在日米軍再編で、米海兵隊岩国基地には新市議の任期中の2017年ごろまでに米海軍厚木基地(神奈川県)から空母艦載機59機の移転が計画されている。移転を含めた将来の基地負担への対応が争点の一つとなった。

 中国新聞社が告示前に実施した候補者アンケートによると、当選した32人の53・1%の17人が容認姿勢。候補者全40人では60・0%だった。

 17人の内訳は「国の地域振興策などを条件に受け入れるべきだ」(11人)▽「日米の合意であり、やむを得ない」(5人)▽「受け入れるべきだ」(1人)。条件付き容認が最多だった。「受け入れるべきではない」は10人。「慎重な検討が必要」などと5人が選択肢を選ばなかった。

 井原勝介前市長が代表で、基地に頼らないまちづくりを訴える政治団体「市民政党『草の根』」は初めて現職と新人を擁立し、2人とも当選した。艦載機移転に反対の共産党は1議席伸ばした。市や議会主流派が政府の安全保障政策に協力する姿勢の中、存在感をどう示すか注目される。

過去最低の投票率

 投票率は、新市発足後3度目の市議選で初めて6割を下回った。現職の1人は「議会が期待されていない証拠。全国的な議員の不祥事も影響したのかも」と受け止めた。

 艦載機移転問題を争点の中心に据える候補者が減る一方、旧市部では中心市街地の活性化、旧町村部では過疎・高齢化対策を訴える候補者が多かったものの、関心は高まらなかった。ある現職の支持者は「政策抜きの票の奪い合いだった」と振り返る。投票率の低下は、政党や会社組織などの固定票を持った候補者に有利に働いた。

 県内でことしあった市議選では、いずれも4月の下松市が46・56%、山口市が49・34%と50%を割り込むなど、低落傾向が続く。

新人の大量当選

 新人は立候補した12人のうち8人が当選。前回の6人を上回った。トップ得票も新人だった。一方、現職4人が落選する結果に驚く声も聞かれた。

 中心市街地の活性化を訴えて当選した新人は「政治力が未知数でも、現状を変えてほしいという期待感があったのではないか。これからがスタート」と気を引き締めていた。

(2014年10月28日朝刊掲載)

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