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被曝者支援20年の軌跡 府中ジュノーの会 会報まとめ第1巻

■記者 大野達寛

 チェルノブイリ原発事故の被曝(ひばく)者支援に取り組む府中市の市民団体「ジュノーの会」は、会報「ジュノーさんのように」をまとめた書籍の第1巻を出版した。今後は数カ月ごとに出版し、会の20年間の軌跡をたどる。

 ジュノーの会は1990年に結成された。会報は91年1月から発行を始め、現在は114号に上る。第1巻「ヒロシマの医師をチェルノブイリへ・チェルノブイリの子どもたちをヒロシマへ」は、92年1月までの10号分をまとめた。四六判、206ページ。1500円(税別)。

 結成から1991年にチェルノブイリへ初めて医師を派遣し、子どもたちを広島に招くまでの経過が、協力した人たちの手で記されている。当時の試行錯誤をそのまま伝えるため、文章にはほとんど手を入れなかった。

 芸術や演劇、文学分野の出版を手がける而立(じりつ)書房(東京都千代田区)が、甲斐等代表(60)=府中市高木町=に書籍化を持ちかけた。続刊の発行へ向け、会は古い会報をパソコン入力するボランティアを募っている。

 会は今後、世界のヒバクシャを支援する組織づくりを目指す。甲斐さんは「結成当時は国際人道支援への理解が得られず苦労した。悩みながら取り組んだ過程は、市民運動をする人たちの参考になるはずだ」と話す。書籍は全国の主要書店で扱う。ジュノーの会Tel0847(45)0789。

ジュノーの会
 名前は、被爆後の広島に医薬品15トンを届け、被爆者の治療にあたったスイス人医師、マルセル・ジュノー博士(1904~61年)にちなむ。博士の精神を受け継ぎ、86年のチェルノブイリ原発事故の被曝(ひばく)者支援のため90年に発足した。会員数は全国に約500人。

(2011年1月6日朝刊掲載)

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