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比治山に「平和の丘」構想 広島市 被爆70年事業で公園再整備 

 広島市の被爆70年記念事業で、比治山公園(南区)を「平和の丘」(仮称)として再整備する構想が浮上している。平和大通りの東端から市街地にかけて眺望できる立地を生かし、復興と平和への願いを伝える空間として魅力を高める狙い。来年2月に公表予定の同事業に決まれば、具体化させる。(和多正憲)

 標高約70メートルの比治山に1903年に整備された約26ヘクタールの公園は、市管理。約1300本の桜が植えられ、山頂からは市街地のほか瀬戸内海も望める。爆心地から約2キロに位置し、被爆建物の「頼山陽文徳殿」や陸軍墓地など戦災遺跡も多く点在。市現代美術館や市まんが図書館などの文化施設もある。

 市は、これら歴史と文化の資産を生かし、被爆100年を見据えて取り組む被爆70年の「まちづくり先導事業」として、公園の再整備を位置づけられないかを関係部局で検討している。具体案は決まっていないが、経済団体からは、原爆資料館(中区)を訪れた海外の著名人のメッセージを刻んだ碑を設置する案などが寄せられているという。

 松井一実市長は10月31日の記者会見で「歴史的な意味と自然環境をうまく加味すれば、都心部の魅力を一体的に味わえる場にできる」と意欲を示した。

 ただ、懸案は園内の南側の大部分を占める放射線影響研究所(放影研)の移転問題。施設の老朽化で70年代ごろから浮上し、市は広島大工学部跡地(中区千田町)に用地を確保しているが、米国側が財政難を理由に難色を示し、凍結状態になっている。

 市は国を通じて引き続き、米国に移転を求める方針。市政策企画課は「事業が正式に決まれば、来年度から整備計画をつくり、米国側に協力を働き掛けたい」としている。

(2014年11月11日朝刊掲載)

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