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被爆前 最新技術で継承を 広島で日米有識者会議

■記者 金崎由美

 原爆が奪ったかつての広島の姿を次世代に伝えることをテーマにした日米有識者の会議が25日、広島市中区の広島国際会議場であり、被爆の実態を最新技術を使い継承する意義を確認した。早稲田大ユネスコ世界遺産研究所が主催し、約150人が参加した。

 被爆前の爆心地周辺をコンピューターグラフィックス(CG)で再現した映画を制作した広島市西区の田辺雅章さん(73)と、制作に協力した日米の専門家ら計7人が討論した。

 政府の非核特使として中東で上映した田辺さんは「映像技術が国際平和に貢献できる可能性を実感した」と強調。被爆70年の2015年に、再現範囲を爆心地から半径1キロに広げる計画を発表した。

 インターネットで米国から発言したキャサリン・サリバン国連軍縮コンサルタントは、「被爆者の証言と画像の組み合わせは、体験継承の新たな道筋となり得る」と期待。バーチャルリアリティーが専門の広瀬通孝東京大教授は「写真とCGの中間のような技術で、タイムマシンのように時代を伝えることが可能だ」と指摘した。

 討論を前に、田辺さんが制作した「『ヒロシマからの伝言』~原爆で失ったもの~」の短縮版を上映。阿部信泰元国連事務次長が講演した。

(2011年1月26日朝刊掲載)

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